競馬新聞の調教欄って読みにくい!そんな悩みを解決!読み方を徹底解説

競馬新聞を読んだことある人は、出馬表以外に数字がいっぱい書かれている欄を見たことがありませんか?読んだことがない人も「調教が良い」などと聞いたことはありませんか?実は、調教はレース結果を左右するほど重要なファクターになりえます。今回は、そんな調教について、競馬新聞でどう読めばいいのか詳しく解説していこうと思います。

砂浜調教

調教とは

競馬における調教とは、競走馬がレースで良い成績を残せるようにトレーニングセンターなどで行う訓練のことです。牧場で生後半年ごろから行われる競走馬としての能力を育成するために行われる馴致に始まり、厩舎に入厩してからは実際のレースを目指した調教が行われ、引退するまで続けられます。

馬にどれだけ素質があっても調教が合っていなければレースで活躍することは限りなく不可能に近いですし、逆に素質的には劣っているであろう馬も調教によって劇的に強化され素質以上の走りを見せてくれることもあります。このように、競馬における調教は馬の馬生そのものを左右するほど重要な要素だということが分かります。

それほどまでに重要なものなので、レースを予想する際にも調教データを使う人が多く、特にトラックマンなどプロの場合はほとんどすべての人が何らかの形で使用すると言っても過言ではないでしょう。

実際に、調教結果とレース結果がリンクしているときもそれなりにあるので、調教の見方を知っていれば予想にも大いに役立ちます。しかし、いきなり調教を見ても良し悪しはよくわかりません。そこで、競馬新聞を活用しましょう!

競馬新聞の調教欄の読み方を理解することで調教を理解し、レース予想に役立てることができます!

調教欄の読み方

ここからは、調教欄の読み方について一つずつ解説していこうと思います。

競馬新聞調教

1段目:ゴールからの距離

スタートからの距離ではなく、ゴールから戻ってどのくらいの距離かを示しています。これは、競馬ではゴールに近づくにつれてラップタイムが上がっていくのが普通であるためです。また、Fとはハロンという距離の単位で1ハロン=200m、哩はマイルで1マイル=約1600mです。

2段目:馬名と評価

評価は「追い切り」時の動きを表しています。「追い切り」とは開催日直前の調教のことです。レース3,4日前に十分に調教で追い切ることからこの名前がつけられました。また、一番右の矢印は前走時との状態の比較を表しています。

↑は一変した状態、↗は上向いている状態、→は状態に変化なし、↘はやや悪化している状態、↓は完全に悪化した状態をそれぞれ示しています。当然、上向きの方が高く評価できます。

3段目、4段目:直近、連対時の追い切りタイム

3,4段目はそれぞれ過去の追い切りの中でも重要な追い切りを書き出しています。3段目の左側にある■は一番最近の連対時のタイムをして示しています。4段目の◇は前走時の追い切りタイムを示しています。なお、前走連対時はいずれも■のタイムのみ掲載されます。

では、ここから下は各調教時計になっていくので縦の列で解説していきます。

1列目:騎乗者

誰が騎乗して調教を行ったかを示しています。この馬の場合は全ての調教に調教助手が騎乗しています。他にも、調教師が乗る時や、レースで騎乗する騎手が乗る時もあります。また、厩舎に所属している騎手を中心に、レースではその馬に騎乗しないものの調教で稽古をつける場合もあります。重賞やその中でも大レースの直前になると、騎手自身が騎乗する場合が多くなり、人によっては2週前ごろから追い切りに騎乗することもあります。例えば、先日無敗で三冠を達成したデアリングタクトは、秋華賞の3週前から松山騎手が追い切りを担当していました。

ただ、調教の場合騎乗者で優劣が出ることはほとんどありません。もし見習騎手などのように騎乗者のおおよその体重が分かればタイムと組み合わせて考えることが出来るでしょう。

2列目:日付

その調教が行われた日を日付で表しています。

3列目;コース

調教が行われたコースを略称で記載しています。トレーニングセンターには目的に応じた様々なコースがあるため、特に追い切り時にどのコースを走ったかは重要になります。コースの概要については後述します。

4列目~8列目:時計

調教の際に計測された時計を示しています。左からそれぞれゴールまでの6ハロン、5ハロン、4ハロン、3ハロン、1ハロンでかかったタイムを秒単位で掲載しています。タイムは当然早ければ早いほど良いのですが、走った距離に応じて変わってきます。また、コース内のどこを走ったかやどのような体勢で走ったのかなどそのタイムが出た理由は複雑です。調教欄ではそれらの点についても次の項目で説明しています。

9列目:通過位置

まず、コース内のどこを走ったかを示すのが通過位置の数字です。競馬場のコースと同じような楕円形のコースを走る時に使われます。コースの幅を9分割し、内ラチと呼ばれる内側の柵に近い方を1、外ラチ沿いを9、真ん中あたりであれば5となります。同じ距離を走っていることになっていてもここの数字が1の場合と9の場合では1秒以上差が開きます。ですので、同じタイムでもこの数字が大きければより早いスピードで走っていることになり、調子が良いといえるでしょう。

10列目:脚色

脚色とは、どのくらいの強さで調教したかを示すものです。主な用語には、馬なり余力(なり)、一杯に追う(一杯)、末一杯追う(末一)、稍一杯追う(稍一)、叩一杯バテ(叩一)、末強目追う(末強) 末抑える(抑え)、一杯追バテ(バテ)、引掛り気味(掛る)、G前仕掛けといったものがあります。全体的には強い順に一杯、強め、馬なりの3つに分けられ、馬の状態によって分けられます。必ずしも追い切りの時に一杯や強めになる必要はありませんが、ずっと馬なりで調教されている場合などには調子を疑ってかかった方が良いでしょう。

 

以上、調教欄の読み方について1行1列ごとに詳しく見てきました。続いて、調教コースについて種類と特徴を見ていきましょう。

調教コース

ターフコース

競走馬が調教を行うトレーニングセンターは、茨城県の美浦村と滋賀県の栗東市の2か所にあります。具体的なコースの距離など一部には違いがみられますが、それぞれ基本的な設備は共通しています。今回は、両者に共通している基本的な部分について紹介します。

まず、調教コースは大きく分けて、坂路、トレーニングコース、プールの3つに分けられます。この内プールでは負荷をかけず心肺を強化することを目指し、他の2つでは馬の能力向上を図っています。

坂路コースには、足元への負担が軽いウッドチップが敷き詰められています。そのため、足や爪に不安があるような馬にとっても安心してトレーニングができます。また、美浦と栗東では栗東の方が高低差が大きいため(美浦15m、栗東32m)、栗東の方がタイムが遅く出ますが、トレーニング効果は大きいと言えるでしょう。

トレーニングコースは実際の競馬場と同じような楕円形のコースが設置されているコースです。美浦のトレーニングコースは北と南に別れており、北はダートコースが主で、南は様々な種類のコースがあります。北にはA,B,Cの3つのコースがあり、Aコースが一番内側になっています。南にはA,B,C,D,DPの5つのコースがあります。このうちCPコースは、ニューポリトラックという素材が敷き詰められており、芝などに比べて足元への負担が軽くなっています。Cコースの外側半分にあることからCコースの一部ということになっています。

栗東は一つのコースに、A,B,CW,D,DP,Eの6つのコースがあります。一つに集約されている分、Aコースの一周は1400mなのに対し、Eコースの一周は2200mと距離が全く違います。このように、どのコースを走ったかによって距離が違うのでコースもある程度確認できるといいでしょう。

 

まとめ

以上、競馬新聞の調教欄の読み方とトレセンのコースについて解説してきました。調教欄を読めるようになって、自分の予想にも、記者の予想の取捨選択にも役立てていきましょう。